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長屋宏和氏 SUPER FORMULA LIGHTS観戦記 2024 Vol.1
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権公式ホームページをご覧の皆さんこんにちは。長屋宏和です。今年もスーパーフォーミュラ・ライツを僕の目線で観て、感じたことをこちらのコラムに書かせて頂きます。
■DRAGON選手が200戦を達成
2024年第4大会富士では、DRAGON選手(TEAM DRAGON)が全日本F3選手権/スーパーフォーミュラ・ライツ参戦200戦を達成されました。
2013年から全日本F3選手権のF3-Nに参戦を開始。当時はジェントルマン向けのクラスではなく、年式違いのマシンでクラス分けされていた時代で、若手選手とともに戦っていました。
一方で、組田龍司総代表としてB-MAX RACING TEAMを率いながら、幅広いカテゴリーでチーム運営やメンテナンスを行い、スーパーフォーミュラ・ライツでも参戦台数を増やし、今ではシリーズ半分がB-MAXのメンテナンスで参戦しており、素晴らしい成長を見せています。
2021年に、僕は組田さんと千代勝正選手と3人でお食事する機会を頂いたのですが、チームの成長や組田さんの目標や夢をお伺いしました。モータースポーツに対する熱い情熱をお持ちでした。チームから巣立っていった関口雄飛選手や千代選手のように、今後もB-MAX RACING TEAMから若手ドライバーが良い経験を積み、さらに良い成績を残していくはずです。
“継続は力なり”。
300戦目指して頑張ってください。
■eモータースポーツチーム『465 Garage』の3人のドライバーたち
eモータースポーツチーム『465 Garage』をご存じでしょうか?
『465 Garage』のチーム代表は、F1ウイリアムズのeスポーツチームに所属する武藤壮太選手。所属ドライバーは小出峻選手、荒川麟選手、中村仁選手のスーパーフォーミュラ・ライツを戦う3名です。
F1ワールドチャンピオンのマックス・フェルスタッペン選手がF1のレースウイーク中にもバーチャルレース『iRacing』でレースを戦っていたことは知られていますが、国内でもレーシングドライバーが所属するeモータースポーツチーム『465 Garage』が存在します。
iRacingは非常に実車と近い精度とコントロール力が必要で、実車の練習量と経験値を補う役目でレーシングドライバーが練習にも取り入れています。ホンダやトヨタなど各自動車メーカーは独自のシミュレーターを開発し、iRacingよりもさらに高い精度で実車のマシン開発を非公開で行っています。
ネット環境の向上でオンライン対戦が可能となり、人対人のバトルの駆け引きもあり、もうゲームの延長線とは言えない時代となっています。リアルもバーチャルもそれぞれから学ぶ必要がある時代となりました。すごい時代です。
■荒川麟選手の存在
今シーズン唯一、全戦で6位以上を獲得し、今シーズン参戦するドライバーで一番の安定感をみせているのが荒川麟選手。僕は数年前から注目しています。
2年前、TGR-DCの育成枠からFIA-F4に参戦した後、2023年はメーカー枠から外れながらも粘り強くメーカードライバーと戦ってきましたが、今年はB-MAX RACING TEAMのスーパーフォーミュラ・ライツのシートをつかみ取りました。開幕戦から崖っぷちのスポット参戦と言われている中で結果を残してきています。
メーカー枠でステップアップしてきた小林利徠斗選手、中村仁選手、そして当時からライバルで、ホンダのメーカー枠で上がってきた小出峻選手との人間味あふれるバチバチのバトルを勝ち抜いてほしいです。
■小出選手と野中選手のシリーズランキング争い
ホンダ育成プログラムの小出峻選手(HFDP WITH B-MAX RACING)、トヨタ育成プログラムの野中誠太選手(PONOS Racing TOM'S 320 TGR-DC)がシリーズランキングのトップを争っています。
今年からのTOM'S TGE-33エンジン導入の関係でサイドポッド形状が変更され、スリップストリームが効き辛い印象がありましたが、野中選手のオーバーテイクは勢いを感じさせてくれました。
野中選手は予選で4番手以内を獲得できる実力はあるはずで、予選グリッドの安定感を向上させることで、ランキングの6ポイント差はすぐにひっくり返ると思っています。
また、荒尾創大選手(HFDP WITH TODA RACING)はシリーズの半分が終わり、前半戦は初めてのサーキットが続きミスが目立つ中でも二度の表彰台を獲得。富士では常に上位でバトルを行い歯車が噛みあってきました。
後半戦のスタートとなる9月の岡山ラウンドで荒尾選手が勢いをつけ、ホンダ・レーシングスクール・鈴鹿で走り慣れた鈴鹿ラウンドではライバルを脅かす存在になる気がしています。後半戦はシリーズランキング争いがさらに白熱しそうで楽しみです。応援しています。
長屋宏和 HIROKAZU NAGAYA
1979年12月31日生まれ。13歳のときに見たF1日本グランプリに影響され、レーシングドライバーを志す。2002年、TODA RACINGから全日本F3に参戦。同年F1のサポートレースでクラッシュし、頚椎損傷C6の重傷を負うが、必死のリハビリで2004年、ハンドドライブでのレーシングカート走行を果たし、大きな感動を呼んだ。チェアウォーカーとなった後、自身のファッションへのこだわりを活かし、チェアウォーカー向けファッションブランド『Piro Racing』を立ち上げ話題に。2013年人間力大賞グランプリ、内閣総理大臣奨励賞受賞。いまも愛するスーパーフォーミュラ・ライツの現場を訪れるほか、ハンドドライブで自らサーキットを楽しみ、レーシングチームの監督や富士登山へ挑戦する等、今もそのチャレンジングスピリットは消えない。
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