長屋宏和氏 SUPER FORMULA LIGHTS観戦記 2020 Vol.1 - superformula lights

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長屋宏和氏 SUPER FORMULA LIGHTS観戦記 2020 Vol.1

2020/12/31

全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権公式ホームページをご覧の皆さんこんにちは。長屋宏和です。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、なかなか2020年はサーキットで観戦することができませんでしたが、ようやく第6ラウンドとなる『REBELLION 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 第15戦・第16戦・第17戦』を観戦することができました。

サーキットへ行くのにもコロナ対策

第16戦のスタートシーン

 2020年は新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れ、感染者数がなかなか収まらないまま、最終ラウンドを迎えることになりました。僕自身は毎レースを公式YouTubeチャンネルで拝見し、第5ラウンドとなる鈴鹿ラウンドも、小池百合子都知事から発せられた自粛要請を受け、行くのをキャンセルしていました。

 第6ラウンドの富士はようやく現地で観ることができましたが、パドックエリアに入るためには、レースの前々週金曜日から事前問診票を送り、体調管理を行うなど、感染対策が採られており、僕も最大限協力できるよう努めていました。

 いったいこのコロナ禍はいつまで続くのでしょう……。先が見えない不安のなか、応援にお越しいただくファンの皆さんの数も心なしか少なく、この状況がいつまで続くのかと思うと不安しかありません。一日も早い新型コロナウイルス感染症の終息を願っています。

ふたりのレジェンド、本山選手と山本選手の参戦

本山哲と山本左近

 ようやく観戦できた第6大会での一番の注目は、本山哲選手と山本左近選手の参戦です。本山選手は誰もが認める速さをもち、フォーミュラ・ニッポンのチャンピオンを4度獲得、SUPER GTのGT500クラスでも3度のチャンピオンを獲得したスペシャリスト。一方の山本選手は元F1ドライバー。このふたりのスーパーフォーミュラ・ライツ参戦は非常に興味がありました。

 おふたり、とにかく楽しそうでしたよね。いや~、うらやましいのひと言です(笑)。僕もいつも出られるなら出たいと思っていますが、思っていることを実現し、若手相手にレースをする姿からは勇気や元気をいただきました。こうして同じフィールドで世代関係なくレースができるのは、若手にとっても良い影響を与えられるし、観ていても面白くて、こうした試みが今後も続き、参加するドライバーが増えたら良いなと思いました。

 実際のレースでは、第15戦で本山選手が2周目のバトル中、TGRコーナーへのブレーキングでロックしながらも、瞬時の動きでコース内に留めた動きを観て「止めた! さすが!」と感じました。

 レギュラードライバーと比べれば、明らかにSFL車両での走行時間が足りていなかったとは思いますが、同じように本気で戦える場を今後も見たいですね。

山本左近と本山哲の争い

HALOの重要性

河野駿佑(RS FINE K&N 320)

 2020年、スーパーフォーミュラ・ライツとなってから使用されているダラーラ320から装着されたHALO(頭部保護デバイス)ですが、F1バーレーンGPでのロマン・グロージャン選手(HAAS F1 Team)の大クラッシュによって、HALOの重要性が再確認されました。

 クラッシュは想定外のことが起きるので、念には念を……。スーパーフォーミュラ・ライツ第6ラウンドと併催だった全日本スーパーフォーミュラ選手権のスタート前、ウォームアップ時に起きた関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)の火災後の脱出も、HALOがあっても無事だったことを考えると、フォーミュラマシンには必要な装備品だと考えられます。HANS装着は定着し、今後、F4やFJのようなステップアップカテゴリーにも大きな事故が起きる前にHALOが装着されたらと願います。

コロナ禍のなかでも、チャンスの年に……

 例年、シーズン中にシートが空くことは少なく、上位カテゴリーのマシンに乗ることができるチャンスはほぼありませんが、今年はコロナ禍の影響で外国人ドライバーが入国できず、空いたスーパーフォーミュラのシートに宮田莉朋選手や、阪口晴南選手、名取鉄平選手といった現役のスーパーフォーミュラ・ライツ参戦ドライバーをはじめ、高星明誠選手、大津弘樹選手といったF3卒業生が実際にドライブでき、ある意味異例の年となりました。コロナ禍がなければ叶わなかったチャンスを活かせたドライバーも多く、最終戦後に行われたスーパーフォーミュラ合同テスト・ルーキードライバーテストでも、新人ドライバーたちはレギュラードライバーとの差がなく、実際参戦するドライバーたちの来年の走り始めが楽しみです。

 スーパーフォーミュラ・ライツでも、新しい顔ぶれが最終ラウンド後の合同テストに参加しました。チャンピオンの宮田選手を脅かすタイムで好調だった三宅淳詞選手は、もし最終戦に出場していたら面白い存在でしたね。2021年に期待しています。佐藤蓮選手はこれまでの経歴から見ても、これから適応してくるドライバーだと思います。その他のチームでも入れ替わりがありそうで、楽しみですね。

  • 三宅淳詞(ルーニースポーツ)
  • 佐藤蓮(TODA RACING)
  • 平良響(カローラ中京 Kuo TEAM TOM'S)

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長屋宏和 HIROKAZU NAGAYA
1979年12月31日生まれ。13歳のときに見たF1日本グランプリに影響され、レーシングドライバーを志す。2002年、TODA RACINGから全日本F3に参戦。同年F1のサポートレースでクラッシュし、頚椎損傷C6の重傷を負うが、必死のリハビリで2004年、ハンドドライブでのレーシングカート走行を果たし、大きな感動を呼んだ。チェアウォーカーとなった後、自身のファッションへのこだわりを活かし、チェアウォーカー向けファッションブランド『Piro Racing』を立ち上げ話題に。2013年人間力大賞グランプリ、内閣総理大臣奨励賞受賞。いまも愛するスーパーフォーミュラ・ライツの現場を訪れるほか、ハンドドライブで自らサーキットを楽しみ、レーシングチームの監督や富士登山へ挑戦する等、今もそのチャレンジングスピリットは消えない。

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