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降り続ける雨が波乱を演出。
展開を読んだ菅波冬悟が初優勝
2日間に渡る専有走行を経て、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第3大会は三重県の鈴鹿サーキットで第7戦/第8戦の公式予選、そして午後4時40から行われる第7戦の決勝日となる7月1日(土)を迎えた。
この日の鈴鹿サーキットは、日中は雨が降り続ける天気予報も出ていたが、迎えた午後零時45分からの公式予選は、小雨がパラつきわずかに濡れている状況はあったもののドライコンディションとなり、全車がスリックタイヤを履きコースイン。計測3周目からアタックが行われていった。
いち早くアタックを決めたのは、第2大会で2勝を飾った平良響(モビリティ中京 TOM'S 320 TGR-DC)。1分53秒854というベストタイムで、ただひとり1分53秒台へ突入する。これに小出峻(HFDP WITH TODA RACING)が1分54秒152で続いた。
3番手には4周目に1分54秒207を記録した木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)がつけていたものの、5周目に野中誠太(PONOS Racing TOM'S 320 TGR-DC)が1分54秒201を記録し木村を上回る。さらに、今度はチェッカーとともにイゴール・オオムラ・フラガ(FANATEC-GRAN TURISMO with B-MAX)が1分54秒184までタイムを縮め3番手を奪った。
結果的に第7戦は平良がポールポジション、小出が2番手という結果に。オオムラ・フラガ、野中、木村、そしてデビッド・ビダーレス(B-MAX RACING 320)と続くトップ6となった。
■ドライか、ウエットか。分かれた選択
当初予定から20分遅れとなる、午後4時40分にフォーメーションラップが始まった第7戦だったが、パラパラと雨が降り続ける状況で、路面はほんのりと濡れているコンディション。ただグリッドでは、10番手の堤優威(Rn-sports F320)、11番手のDRAGON(TEAM DRAGON B-MAX 320)、12番手の畑享志(A-NeKT with B-MAX 320)のみがウエットタイヤを履き、その他のドライバーはスリックタイヤでスタートを切った。
迎えたスタートでは、平良、小出と1コーナーに入っていくが、好ダッシュを決めた野中が3番手に浮上。その背後では3番手スタートのオオムラ・フラガと5番手スタートの木村がサイド・バイ・サイドの戦いを展開していく。
しかし、逆バンクでイン側の縁石に乗ったオオムラ・フラガが外側にいた木村と接触。2台はスピンを喫しコースアウトしてしまった。木村の車両はコースに復帰したものの大きく遅れ、オオムラ・フラガもコースに戻ったものの、その後ピットへ入ってしまった。これでレースはセーフティカーランとなってしまう。
そんな展開のなか、雨は降り続いており、特に西コースは水しぶきが上がってしまう状況。各車ともオープニングラップの滑りやすい状況のなかバトルを展開し、平良の背後には野中が浮上。小出が続くことになるが、そんななかで10番手から6ポジションアップを果たしていたのは、ウエットを履いた堤だった。
この状況を見てか、セーフティカーラン中に5番手のビダーレス、8番手の菅波冬悟(JMS RACING with B-MAX)、さらに1周遅れながらコースに復帰した木村がピットインし、ウエットタイヤに交換。セーフティカーランの隊列に追いつくことに成功した。
■ウエット装着車が相次いでトップ浮上も
レースは4周目にリスタートを迎えるが、ウエットタイヤを履いた堤は1コーナーで小出をかわすと、ヘアピンで野中をオーバーテイク。さらに5周目には平良もかわし、トップに浮上した。天候と展開を味方につけ、初優勝に向けてリードを広げるかに見えた。
しかし6周を過ぎる頃になると、堤のペースがガクリと落ちてしまう。この背後に急接近したのは、ピットインしタイヤを履き替え、スリック勢をかわしてきたビダーレスと菅波。7周目にはビダーレスが一気に堤をパス。さらに菅波も堤をかわすと、堤はさらにペースダウン。スリック勢にもかわされてしまった。
これでトップに立ったビダーレスだが、今度は菅波がビダーレスに接近。9周目の1コーナーで、今度は菅波がトップに浮上した。すると、10周目にはビダーレスも急激にペースダウン。ウエットの菅波を先頭に、2番手にはスリックの平良が返り咲き、3番手には野中が続くことになった。
雨は降り続いているものの、10周目にはついに平良のラップタイムが菅波を上回っていった。ただ、その後一気に平良が菅波に追いつくかと思われたものの、今度は序盤からウエットタイヤを守っていた菅波が平良とのギャップを広げていくことに。逆に平良には3番手の野中が接近。チームメイト同士のバトルとなった。
菅波はその後も平良とのマージンをきっちりと保ち、5.888秒の差をつけトップチェッカー。代役参戦ながら、展開を読み切り嬉しい全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権での初優勝を飾った。2位は平良、3位は野中という結果に。4位は小出、5位はエンツォ・トゥルーリ(モビリティ中京 TOM'S 320)という結果に。ビダーレスは6位でフィニッシュした。
マスタークラスは、唯一の参戦となる畑がしっかりと走り抜き、8位でチェッカーを受け優勝を飾った。