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長屋宏和氏 SUPER FORMULA LIGHTS観戦記 2023 Vol.1
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権公式ホームページをご覧の皆さんこんにちは。長屋宏和です。2023年のシリーズもいよいよ後半戦ですが、僕の目線で今季のスーパーフォーミュラ・ライツを観て感じたことを書かせて頂きます。
◆2戦に1回、勝者が異なっている混戦状態
2023年は第4大会まで終えて、ここまで4勝の木村偉織選手、3勝の平良響選手、2勝のエンツォ・トゥルーリ選手、1勝の小出峻選手、イゴール・オオムラ・フラガ選手、菅波冬悟選手と、12戦中勝者が6人という、近年あまりない接戦のレースが繰り広げられています。
スーパーフォーミュラ・ライツはタイム差がないぶんオーバーテイクが困難で、予選で前にいくことが決勝結果に大きく影響します。そんな中、第4大会の富士ラウンドでは、木村選手が自信を持っての1コーナーアウト側からブレーキングをみせ、並走して抜き切る姿、平良選手と並走するバトルは目を引きました。
第11戦での出来事。1〜3位がペナルティなんて初めて見た!
富士での第11戦では、レース後1〜3位にペナルティが課され、4位の小出峻選手が優勝しました。
「運も実力のうち」という言葉どおり、運をつかみ獲りました。
ペナルティとなった木村選手の「2回以上の進路変更」は、2周続けて行っていたので、レース後すぐにコントロールタワーに呼び出されていました。進路変更のことかなと思っていましたが……。トゥルーリ選手の最低重量は、事実で仕方ないと思いましたが、平良選手の「走路外走行複数回」には少し驚きました。走路外を使ってのバトルということで、通常より厳しくとられたのかもしれません。
そんな中、地道に食らいついた小出選手が初優勝という結末にも驚きでした。この運を、次戦以降、歯車がかみ合うきっかけにしてくれればと思います。
◆堤優威選手の頑張り
僕の中では堤選手はハコ車の印象があり、今年のスーパーフォーミュラ・ライツへの参戦は興味深く、初戦から注目していました。
シーズン序盤は苦しんでいましたが、鈴鹿ラウンドでトップを走る姿をきっかけに、富士ラウンドは予選2番手、決勝も初表彰台を獲得し、今後がすごく楽しみです。全ドライバーが僅差ですが、コンマ1秒以下の差でも、前に来るドライバーは決まってきている中、予選で上位に食い込むスピードはさすがだなと思っています。
しかもまだスーパーフォーミュラ・ライツでは1年目ですからね。今年は経験を積み、2年目の初戦で勝負できるよう、組み立てていって欲しいです。
◆第12戦今田選手とDRAGON選手の熱いバトル
第4大会では、マスタークラス参戦の今田信宏選手とDRAGON選手の2台のお互い譲らない攻防戦は見応えがありました。
富士ラウンドを見ていて今田選手の方がスピードがありましたが、抑え込むDRAGON選手の気迫が伝わってきた戦いでした。
◆第7戦鈴鹿での菅波選手の優勝
雨が降り出すなかでのレースとなった第7戦鈴鹿では、菅波冬悟選手が優勝を飾りました。セーフティーカーからのピットインでレインタイヤに交換、セッティング、タイヤマネージメント、すべてのタイミングが噛み合った感じですね。堤選手、デビッド・ビダーレス選手も同様にレインタイヤを装着していましたが、後半、路面が良くなり、スリックタイヤの条件が合い始めた中、レインタイヤでタイムの落ち方が少なかったのが菅波選手だけでした。
結果、スリックタイヤで走り続けての優勝は見事でした。しっかり2番手に平良選手がつけていたのも流石だなと思って見ていました。スーパーフォーミュラ・ライツでタイヤ交換があったレースは自分は初めて見たように感じますが、誰よりも先に送り出そうと頑張るメカニックさんたちの動きにも注目して見ていました。
長屋宏和 HIROKAZU NAGAYA
1979年12月31日生まれ。13歳のときに見たF1日本グランプリに影響され、レーシングドライバーを志す。2002年、TODA RACINGから全日本F3に参戦。同年F1のサポートレースでクラッシュし、頚椎損傷C6の重傷を負うが、必死のリハビリで2004年、ハンドドライブでのレーシングカート走行を果たし、大きな感動を呼んだ。チェアウォーカーとなった後、自身のファッションへのこだわりを活かし、チェアウォーカー向けファッションブランド『Piro Racing』を立ち上げ話題に。2013年人間力大賞グランプリ、内閣総理大臣奨励賞受賞。いまも愛するスーパーフォーミュラ・ライツの現場を訪れるほか、ハンドドライブで自らサーキットを楽しみ、レーシングチームの監督や富士登山へ挑戦する等、今もそのチャレンジングスピリットは消えない。
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