2019 F3コラム Vol.1 「F3富士」 - superformula lights

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2019 F3コラム Vol.1 「F3富士」

2020/02/26

YouTubeで全戦見ていますが、今年初のF3現地観戦。
サーキットは、普段の生活では感じられない、コンマ数秒の時間軸を思い出させてくれるし、モータースポーツ独特の空気を感じられ、身が引き締まりました。YouTube観戦は便利ですが、やっぱり現地で見るのが音と迫力が伝わって一番良いですね。

 

サッシャ・フェネストラズ選手の強さ

昨年のマカオグランプリ3位のサッシャ・フェネストラズ選手の速さと強さを感じます。これまでもたくさんのドライバーを見てきていますが、その中でも勢いを感じるドライバーだと思って見ています。ただ、ちょくちょく見せる凡ミスは、彼の欠点なのかもしれません。
今年のマカオグランプリはFIA-F3シャーシとなり、サッシャ選手が出場するとすれば、海外チームからの参戦となるのでしょう。マカオもそうですが、日本に来て、初めてのサーキットを攻略するアイディアとセンスは日本人ドライバーが海外に行ってぶち当たる壁と同じです。“距離を乗っているから”という理由であれば、日本でも、別カテゴリーでも、距離を稼げば良いと思います。
サッシャ選手はヨーロッパF3に3戦出場しマカオグランプリ初年度7位、2年目のマカオで3位。2017年の4カテゴリーのフォーミュラレースで30レース経験していて、ジュニアフォーミュラでカートのように乗れる環境が自然に順応性を養い、今年も開幕戦からトップ争いが出来るのだと思います。フォーミュラに上がった2015年から毎年30レース経験しています。これを見ただけで年齢は若くても、日本人ドライバーとの経験の差を感じます。シミュレーターも効果はゼロではないと思いますが、それであればみんなが速くなれるはずで、違った考えの攻略アイディアを持っているのでしょう。
初サーキット1本目から、準備の引き出しを整え、高いレベルからスタート出来ているのだと感じます。その為にはお金のマネージメントもしなければ、ですね。

 

戸田レーシング大湯選手の初優勝決定

第10戦菅生でトップチェッカーを受けた大湯都史樹選手ですが、暫定結果のまま保留になっていましたが、富士ラウンド前に正式結果が出ました。戸田レーシングの優勝は、2002年戸田レーシングドライバーとして本当に嬉しいです。おめでとうございます。
第8戦岡山ラウンドでは片山義章選手が初優勝。表彰台経験者も8名おり、残り8戦でも入れ替わりがありそうです。エナム・アーメド選手も勢いがあり、予選順位の大切さを感じています。

 

2戦連続のトムス失格

失格内容について僕がどうこう言える立場ではありませんが、何より宮田莉朋選手の今後を左右しないことを願います。チャンピオン争いをしている2名のドライバーの争いは、サーキットのコース上だけで決着をつけてほしいです。
第10戦だけでなく、富士の第11戦でも2度目の失格となりましたが、この先はどうなるのでしょうか。今後のシリーズ争いにもよりますが、2人のポイントが近づくと、また何かあるのではと思ってしまいますが、本当に何もないことを願います。

 

日本なのに海外レースみたい

今年の全日本F3選手権は、ヨーロッパで戦うモトパークやカーリンといった有名チームに加え、エンジンは5メーカーで争われています。レベルも非常に高く、ドライバーのレベルも上がっていると感じます。
これまでのレース界の流れは、早くヨーロッパで経験を積み、ステップアップを目指す動きがありましたが、ヨーロッパから日本の見方は、日本にチャンスがあると思われているように感じます。日本人ドライバーの弱点はヨーロッパのサーキットの順応性と言葉の壁だと思いますが、逆に海外選手が日本に来たときはそれを感じさせません。自分に合った環境作りは自分がプロデュースしなければならず、そこが日本人の苦手というか、空気に飲まれてしまうひとつの要因なのだと思います。
自分がどこを目指すのか、どこが一番近道で、一番チャンスがあるかをしっかり考えて、各ドライバーには自分の道を進んで欲しいです。

 

長屋宏和 (HIROKAZU NAGAYA)

1979年12月31日生まれ。13歳のときに見たF1日本グランプリに影響され、レーシングドライバーを志す。2002年、TODA RACINGから全日本F3に参戦。同年F1のサポートレースでクラッシュし、頚椎損傷C6の重傷を負うが、必死のリハビリで2004年、ハンドドライブでのレーシングカート走行を果たし、大きな感動を呼んだ。チェアウォーカーとなった後、自身のファッションへのこだわりを活かし、チェアウォーカー向けファッションブランド『Piro Racing』を立ち上げ話題に。2013年人間力大賞グランプリ、内閣総理大臣奨励賞受賞。いまも愛するF3の現場を訪れるほか、ハンドドライブで自らサーキットを楽しみ、レーシングチームの監督や富士登山へ挑戦する等、今もそのチャレンジングスピリットは消えない。

FROM NAGAYA

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